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2010年10月 5日 (火)

刹那の花火

Freddiemercury7hv6

「クイーンの初期のライブ映像がもっと観たいなぁ」と思われているクイーンファンの方は、きっと多いと思います。「少ないよなぁ」とも。

でもそれは仕方がないのです。

以前「それは違う!」という記事や、その他の記事でもちょこちょこと書いているのですが、時代、というものを考慮すればお判りになるのではないかと思います。

…今現在の感覚とはまったく違うんですよ。本当にね。

クイーンに限らず70年代以前のミュージシャンのライブ映像が希少な理由は、まずコンテンツとして二次利用できる手段が少なかったから、というのが大きいかと思います。

家庭用ビデオはまだ普及していません。
8ミリ16ミリ映写機は一部の趣味人のもの。どこの家にもほいほいあるようなものではありません。あ、言うまでもなく、インターネットなんか、まだ影も形もありませんよ。

つまりライブ映像を「売って収益を見込める」先は、映画かTVしかなかったのです。

プロですから売るあてのないものは撮りません。撮るとすれば当時ですからフィルム撮影ですが、「取りあえずマテリアルとして撮っといて、どう使うかは後で考えようよ」みたいな発想自体、たぶんなかったと思います。

そう、第二には「ライブ」を「記録」するということ自体、まだ邪道と考えられていた時代だったのです。特にロックやジャズのようなジャンルでは。「ライブは生だからライブなんだよ!」と。

クイーンの初期の映像で残っている74年のレインボー・シアターは、元々ライブアルバムにする予定で音と映像を収録していたものですし、75年のハマースミス・オデオンは最初からテレビ(BBC)放送が決まっていました。

逆に言うと、そういう目的でもない限り、映像を撮っている可能性は低い、ということです。

あと初期映像が残っている可能性があるとすれば、メンバーやスタッフ、およびその関係者がプライベートに撮っている場合くらいではないかと思います。
公認ファンクラブのファン・コンベンション用に撮影、という可能性もあるけど(実際、74年のレインボーシアターはファン・コンベンションで上映されたんじゃなかったかな…ごめんなさい、うろ覚え)、そんなもんがあればとっくに流出してるかも。

ただこの点に関して、初期のクイーン自身が自分たちのライブ記録を残すことにあまり積極的ではなかったので(その理由は、それはそれでまた別の話)、あとは観客の誰かが8ミリ手持ちでガタガタの映像撮ってた、とか…
音源はありますよね、そういう。というか、当時発売されていたブートレグ(海賊盤)はみんなそんなの。演奏より観客の声援の方が大きく入ってるんだから!

想像してみてください。

あなたは1974年暮れの日本にいます。その年に続けざまに発売された、クイーンの3枚のアルバムに聴き惚れています。
クイーンのビジュアルは、アルバムジャケットと音楽雑誌のグラビアでしか、知りません。動いている彼らなんか、誰も見たことがありません。見る手立てもありません。プロモーションビデオもまだありません。
そこに凄いニュースが入って来ます。来年の春、クイーンが日本に来るんだって!

うわぁぁぁ!どうしよう、嬉しい!夢じゃないかしら!

地元イギリスならともかく、日本にいて、動いて、話して、歌っている、演奏している彼らを観る機会は他にありませんでした。
ファンにとっても、またアーティスト自身にとっても、ライブは一度が一度きりの、一瞬の夢、一瞬の花火。

だからこそ彼らは、73年のデビューから最後のライブの86年まで、ライブがまったくなかった年は83年の1年だけで、あとは毎年毎年こつこつとあきれるほど生真面目に、旅芸人のようにライブをこなし続けていたのです。

メンバーの誰だったかちょっと忘れちゃったのですが、爆発的に人気が出た75年以降に「チケットが取れなかった、とかいう話を聞くと胸が痛むんだ。だからどんどん会場が大きくなる。ほんとはライブハウスみたいな観客と近いところでやるのも好きなんだけど、でももう無理だよね」と言っています(なんとなくブライアンあたりが言いそうだ…でもフレディだったような気もする)。

ライブは生で観るから「ライブ」だったのです。そういう時代だったんです。40年近く前の話ですものね。
その後、家庭用ビデオが普及して、状況はあれよあれよという間に変わるのですけれど。


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