「オペラ座の夜」の妖精
先日「戦慄の王女」のジャケットについて書いていて、もうひとつジャケットネタで思い出したことがあります。
クイーン4枚目のアルバムにして、クイーンの最高傑作とも20世紀のロックの名盤のひとつとも讃えられる「オペラ座の夜 A Night At The Opera」。
この「オペラ座の夜」のジャケットは、フレディ・マーキュリーがデザインしたクイーンの初期のロゴを、(たぶんプロのイラストレーターが)カラーイラストに改めて描き起こしたものなのは、ご存知の通り。
元々のオリジナルのロゴはこちら。
ファーストアルバムの「戦慄の王女」の裏ジャケにはもう使用されているので、フレディがデザインしたのは71~72年、ということになりますね。
クイーンのメンバー4人の生まれ星座(蟹座と獅子座ふたりと、乙女座)をモチーフにしたものなのは、すでに有名な話です。
で、突然なんですが両サイドにいる二人の「乙女」のうちの向かって右側の子にご注目ください。
はい、これ。
ご存知の方も多いかと思いますが、これはイギリスの画家、シシリー・メアリー・バーカー(1895年6月28日-1973年2月16日)の、妖精を描いた8冊の絵本のシリーズのうちの、「アルファベットの妖精」の中の「ジャスミンの妖精」です。
フレディはファーストアルバム「戦慄の王女」で「マイ・フェアリー・キング My Fairy King」という曲を、セカンドアルバム「クイーンII」にはリチャード・ダッドの妖精絵画「お伽の樵の入神の一撃(The Fairy Feller's Master-Stroke)」をテーマにした「フェアリー・フェラーの神技 The Fairy Feller's Master Stroke」という曲を書いています。
おそらくある時期(というか71~74年くらいの間)、フレディは、妖精とか妖精物語とかそれをテーマにした絵画とかに、個人的にものすごく興味を持って、愛していたのだと思われます。
シャイな文学青年だったフレディの片鱗が垣間見えますね。
この、クイーンの紋章の右側の妖精がシシリー・メアリー・バーカーのパク……オマージュだということは、学生時代当時、凛々さんの周囲のクイーンファンの間では、わりと周知の事実でした。
それには明確な理由があります。
1976年から数年間、森永ハイクラウンチョコに、このシシリー・メアリー・バーカーの妖精画が、「フェアリーカード」として1箱に1枚ずつ、オマケについていたからです。
アラウンド50歳くらいの女性で、「懐かしい!私も集めてたわ!」という方も多いんじゃないでしょうか(凛々さんを含みます。ええ含みますとも)。
そして70年代初期クイーンのファンと、妖精物語などのファンタジー好きの層は、はっきり言って、
カブってました。
初期クイーンが文学少女にウケた、という記事は以前書きましたが、そんなわけで、70年代当時の日本の少女ファンの間でのみ、「乙女」の元ネタはあっという間にバレたというわけなんです。面白い偶然でしょ?
で、今この記事を書いていて、またふととんでもない方向に思いついたことがあるのですが、「ショウ・マスト・ゴー・オン The Show Must Go On」の一節ね。
My soul is painted like the wings of butterflies
Fairy tales of yesterday, will grow but never die
I can fly, my friends!
「フェアリーテイル」というのはいわゆる「おとぎ話」のことですが、もしもこれを、文字通りの直訳で「妖精物語」と解釈するならば。
「Fairy tales of yesterday」というのは、妖精物語に熱中していた頃の、若き日のフレディ、そのもののことなのかもしれない。
ブライアンは、夢と情熱と野心に満ちていたあの若き日のフレディと自分たちのことを、そっと歌詞に滑り込ませたのかもしれない。
Fairy tales of yesterday, will grow but never die
あの頃のおまえは、今もおまえの中で生き続けていて決して滅びない
I can fly, my friends!
あの情熱の日々を思い出す時、僕たちは今でも飛べるんだ、友よ!
それはブライアンの、今まさに旅立とうとするフレディに対する、魂の叫びだったのかもしれない、と。
…まあ、凛々さん得意の「思考の暴走」です、すいません。
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