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2017年9月28日 (木)

パンチガニの少年

Freddiebulsara

インド西部、パンチガニのセント・ピーターズ・スクールの音楽の先生は、その出っ歯から「バッキー(訳注:英語で出っ歯を buck teeth「うさぎの歯」といい、口語的に bucky)」とあだ名されていたフレディ・バルサラという8歳の少年が聖歌隊で歌うのを聴き、彼の音楽の才能に気が付いた。

彼は音楽の特別クラスに入れられ、フレディ少年のピアノ教師ミセス・オーシアは、熱心にクラッシック音楽に導こうと格闘したが、若いフレディはロックンロールをやりたがった。

やがてフレディとその友人たちは、女の子にモテたい一心でバンド「Hectics」を始めた。

彼らは2本のギターと、茶箱に絃を1本張っただけのベース、それに学校の古ぼけたピアノと1台のドラムを持っていて、「Yakkety Yak」「Tutti Frutti」「Rock Around the Clock」などを演奏した。

「Hectics」のリーダー格だったブルース・マレイいわく、それは酷いバンドで自分たちには才能がなかったけれど、フレディは違った。彼はラジオ・セイロンから流れて来る音楽を1回聞いただけで、その曲をピアノで完璧にプレイできた。
「フレディは50年代のボリウッド映画に影響を受けた」という都市伝説については、マレイは否定している。

「僕たちのアイドルは、エルビス・プレスリー、クリフ・リチャーズとリトル・リチャードだったよ」

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同級生のドクター・サバシュ・シャーは、フレディを内向的な性格だったと記憶している。
しかし同時に生まれながらの目立ちたがりでもあって、いったんステージに上がれば彼は一変した。
たとえば生まれ故郷であり両親が住んでいたアフリカ・ザンジバルの浜辺でフレディが当時流行っていたツイストを踊りだすと、ブルカを着た地元の女の子たちが彼を囲んで踊った。それは彼のショーマンシップの力だった。

フレディ少年は優秀な音楽家であると同時に、美術の才能を持ち、優れたスポーツマンでもあった。
特に、彼は良いボクサーだった。彼の同級生は、彼がボクシングの試合で打たれてその突き出た前歯が血まみれになっても、試合の続行を望んだことを覚えている。

Box

一方で、一部の友人たちは、フレディが「ちょっと軟弱だった」とも言う。
外の友達に電話する時に、フレディは相手を「ダーリン」と呼んでいた(そしてそれは彼の生涯の口癖になった)。

後に彼の長年のガールフレンドであるメアリー・オースティンに、フレディが「僕はバイセクシャルかもしれない」と告白したのは彼が30代になってからだった。
「違うわ、フレディ」メアリーは答えた。

「バイセクシャルじゃないわ。あなたはゲイだと思う」

それはフレディの転機になった。
「自分をゲイであると自分で認めた瞬間、初めて、彼は自分自身になったの」
そうメアリーは語った。

ロンドンに移ったフレディが自分自身を「再発明」してフレディ・マーキュリーになった時、パンチガニの彼の同級生たちの多くは、それがフレディ・バルサラであることに、彼が亡くなるまで気が付かなかった。

「Hectics」の仲間の中で、フレディが有名になった後も唯一連絡を取っていたブルース・マレイがある日フレディにディナーに誘われた時、もう一人の客は、エルトン・ジョンだった。
フレディは変わらずフレンドリーに接したが、マレイは、もう住む世界が違うような気がして気おくれし、だんだんに疎遠になっていった。

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パンチガニのセント・ピーターズ・スクールは、現在では世界中のフレディ・マーキュリーファンの「巡礼地」になっている。同校は、記念品を欲しがる心ない探究者の破壊行為を、根気よく我慢している。
目端の利く卒業生の中には、「インドのフレディ・マーキュリー・ツアー」を企画する者さえいる。そしてそのハイライトは学校への訪問と、フレディが弾いた古いモートリー商会のピアノと一緒に写真を撮ることだ。

その後、「Hectics」の仲間たちはどうなっただろう。

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ドラムのヴィクトリー・ラーナーは軍人になり、少将まで昇進した。

リードギターのブルース・マレイはイギリスに移住し、音楽店を経営している。

同じくギターのデリック・ブランチもイギリスに移住、俳優になって小さな役を演じた。

ベースのファラング・イラニ・ランは数年前に亡くなるまで、インドのプネーでレストランを経営していた。


そしてパンチガニの少年フレディ・バルサラは、もちろん、ロック・ミュージックの偉大なる神のひとりになった。

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【Times of India Sep 4, 2016】The Panchgani boy who would be Queen
https://t.co/xHD1XCN2Xc


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