« クイーン、グラミー賞特別功労賞「生涯業績賞」受賞 | トップページ | 映画「Bohemian Rhapsody」全キャスト発表 »

2018年1月12日 (金)

「ガラス玉演戯」リターンズ

1970年代、クイーンの情報といえば「ミュージックライフ」誌と、あとはラジオとFM誌くらいしか、得る手段がありませんでした。まあ今更ですが。

で、1975年のだったか76年のだったか、ミュージックライフのクイーン増刊号に、メンバーの手書きプロフィールが載ってたんですね。

以前、「初期クイーンはその物語性ゆえに文学少女にウケた」関係の記事を書きましたが、

「愛と青春の(笑)トルバドゥール」
http://yuuki-rinrin.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-a9e4.html

「「クイーン」という複合芸術」
http://yuuki-rinrin.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-452e.html

その手書きプロフィールを見た10代の文学少女たちは、雪崩の如くいっせいに本屋に駆け込んだのです。

なぜならそこに、ブライアン・メイの愛読書がヘルマン・ヘッセの「ガラス玉演戯」、ロジャー・テイラーの愛読書がジャック・ケルアックの「路上(オン・ザ・ロード)」、と書かれていたから!

当時まだ「路上」は文庫本では出ていなかったと思うので、お小遣いの乏しい10代少女たちは新潮文庫の「ガラス玉演戯」を、我先にと手に取ったのです。必死だったのよ、ファンも!今みたいに情報あふれてないから。

凛々さん、上記の記事の例に漏れず「文学全集も読むけどサブカルにもちょっとうるさいのよ」的なタチの悪いこまっしゃくれ女子だったので、小学生から新潮文庫や岩波文庫の古典的名作にも親しんでいたし、まあそれと同じくらいのノリ?なんて「ガラス玉演戯」を手にしたのですが…

見事玉砕。

いや、難しかったんですよ。内容が?表現が?どっちも。

凛々さん、「確かに日本語で書かれているのに言ってる意味がさっぱり判らない」という読書体験を、生まれて初めてしましたよ、「ガラス玉演戯」で!

お、恐るべし、ブライアン・メイのインテリジェンス。

今にして思うと、「ガラス玉演戯」という、哲学・精神と音楽の融合、のような観念が、ローティーンの自分には理解しづらかったし、ガラス玉演戯の具体的な、言ってみれば即物的な演奏描写、楽器の形状などの具体的な描写が本文にないので頭に思い描けなくて、そこでつまずいたんだと思われます。

子ども心にも密かにわりと自信を持っていた文学系で鼻っ柱へし折られたので、「私なんか、たいしたことないんだぁぁぁぁ」と深く深く刻み込まれ、適度にほどよく謙虚になることを学びましたよ。あれはいい経験になった。ありがたいありがたい。

しかしこの「哲学・思想と芸術の融合」ってさー…

確かなんか今、「天文学と芸術の融合」みたいなイベントやってる天文物理学博士が、いらっしゃいますよねぇ?凄く身近に(笑)。

「第4回スタームス・フェスティバル」
http://yuuki-rinrin.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/nhk-8dff.html

ああ、三つ子の魂百まで。

ブライアン本人が意識してるかどうかは判りませんが、未来社会の学問のユートピア都市を舞台にした、瞑想と芸術の融合表現であるガラス玉演戯の演戯名人、ヨーゼフ・クネヒトの架空伝記である本作「ガラス玉演戯」が、その後のブライアンの思想や志向に、深いところで影響を与えたのかもしれません。…与えてないかもしれません。

なお、後に出た角川文庫版は、「ガラス玉遊戯」というタイトルになっています。
個人的な好みで言えば、「遊戯」よりも「演戯」の方が好きだな。「縁起」と同音異語になってるのがいいと思うんですよ、伝記(伝奇)っぽくて。

それにしても新潮文庫も角川文庫も、今は絶版になってるんですね!ヘッセなのに!ノーベル文学賞なのに!

ってなわけで、凛々さんここんとこ個人的都合で何度も実家と家を行き来したついでに、挫折して以来、実家の本棚に埋もれたまま朽ちようとしていた新潮文庫刊「ガラス玉演戯」上下巻を、42年ぶりに引っ張り出して持って帰って来ましたよ。

Dscn0332

一応は大人というものになって(一応ね)、「観念」的なことも、10代の頃よりは理解できるようになったのではないかという希望的観測(ってか、なっててくれてなきゃ困るわ)の元、再チャレンジしてみようかと。

奥付見て笑っちゃったのが、上巻が1976年4月の5刷、下巻1975年9月の4刷になってて、いつ頃買ったのか丸わかり。見る人が見れば何がきっかけだったか丸わかり。

Dscn0333

そして一緒にまとめて買ったにもかかわらず、上巻が5版なのに対して下巻が4版なのは、

上巻で挫折して下巻を買わなかった人がいかに多かったか

ってことですね(笑)。大丈夫大丈夫、私だけじゃない。

ヘッセが11年の歳月を掛けて書き上げたノーベル文学賞作「ガラス玉演戯」を、42年掛けて今年こそ読ませていただこうと思います。ああ、花も嵐も老眼も踏み越えて。

なお、同じミュージックライフの手書きプロフィールで、フレディ・マーキュリーの愛読書は「ビアトリクス・ポター」、ジョン・ディーコンは「QUEEN MAGAZINE」(なんのこと?)と書いてあったと思うのですが、資料引っ張り出すのがめんどくて(めんどいんかい!)凛々さん相変わらず記憶だけでモノ言ってますのでなんか違ったら申し訳ございません。

ああ、ブライアンに比べてなんとファンに優しいフレディの愛読書よ。原語でもイケる。

Dscn0334

結局、10代のあの一時期クイーンというバンドは、音楽や文学にとどまることなく、精神が未だ幼い自分がこれまで知らなかった(あるいは触れたことのなかった)世界への、新しい扉を数限りなく、めまぐるしく次々開けてくれる人たち、だったのだなぁ、と今もとても感謝しています。

オベロンにタイタニア、さあ踊ろうよファンダンゴ。

 ☆    ☆

余談。

「ガラス玉演戯」挫折事件の後、萩尾望都さんの漫画「あそび玉」をコミックスで読んだ時に、主人公が「あそび玉」を自在に繰るイメージが萩尾さんの表現の美しさ豊かさと相まって、なんとなく「ガラス玉演戯」ってこんなかな、なんて脈絡もなく思ったことを、この記事書きながらふと思い出しました。
関係ないとは思うんだけどね。イメージイメージ。


拍手コメントにいただいたコメントは、ある日突然ブログ記事内でご紹介させていただくことがあります。ご了承ください♪

●ウェブベルマーク

https://www.webbellmark.jp/

東日本大震災での東北3県の被災学校に1日1回、1クリックで1円支援!スマホからでも参加できます。

●このブログはリンクフリーです。とくにご連絡なくてもおっけーでーす。リンクバナーが必要な場合は、下記をお使いくださいね。

(リンクバナーイラスト・Akiraさん。ありがとうございます)

|

« クイーン、グラミー賞特別功労賞「生涯業績賞」受賞 | トップページ | 映画「Bohemian Rhapsody」全キャスト発表 »